次屋さんのミラノコレクションレポート④~Interview~2008.11.18
荻野いづみさんインタビュー
『荻野いづみ×次屋妙子ミニサクセスウーマン講座inミラノ』
――本日はミラノコレクションの大成功、大変におめでとうございました。さっそくで恐縮ですが、ぜひインタビューをお願いいたします。アンテプリマのテーマでもある「大人の女性の遊び心」――荻野さんのお考えになる「遊び心」とは、一体どういうことなのでしょうか。
荻野:やっぱり「好奇心を持つ」ということですね。物事をすべてポジティブに捉えて行くというか。たとえマイナスな出来事が起こっても、プラスに変えて行くことが非常に大切だと思います。とにかくやりたいことがあったら、何でもやってみればいいのではないでしょうか。
――イタリアの女性と日本の女性の「遊び心」に違いはありますか?
荻野:やはり違いを感じますね。日本には女性が家庭に入って内を支える、という風習がありましたが、今は割と開放的になってきていると思います。ですからその分、皆さん弾けているような気がします(笑)。
――その「遊び心」って、どうやって育てていったらいいのでしょうか?
荻野:まず日常の中で「遊びたい」という気持ちに素直になってみることだと思います。多くの女性は「こんなことしちゃいけないんじゃないか」とか「誰かに何かを言われてしまうんじゃないか」などと、自分で自分のことを押し込めてしまっているような気がします。まずは、その制約を取り払わないといけませんね(笑)。
――なるほど。自分で自分の枠を取り払っていくということですね。それでは荻野さんにとって、「自分らしさ」とは何ですか?
荻野:私はできるだけ自分に素直でありたいと思っています。人はストレスを抱えて生きているものだし、死も平等に訪れるでしょう? だからこそ生きている間は、生きていること自体を楽しもうって思っているんです。いたずらに死を恐れたり、誰かに何かを言われるのを怖がっているのではなく、自分らしく輝こうと思いさえすれば、人はいくらでも輝ける。何歳からでもデビューをすることができると信じています。
――深いお言葉です。本当にその通りですね。ところで、ミラノには本当に美しい女性が大勢いらっしゃいますが、デザイナー荻野いづみさんにとって、どういう女性が美しいと思われますか?
荻野:フィジカルに美しい方は本当に美しいと思うのですが、やはり内面的に輝いている人、笑顔が素敵な人はいいなぁって思いますね。
――荻野さんは15年間もミラノの地でご活躍されているわけですが、ごく最近アンテプリマのデザイナーが日本人であることをご公表なさったと伺いました。反響はいかがでしたか?
荻野:最初は、私がデザイナーだなんて言ったら、売れないんじゃないかと心配していました(笑)。実は今日のコレクションでも「アンテプリマのデザイナーって、日本人だったんだね」と、驚かれたばかりです。
――荻野さんのワイヤーバッグは、持っているだけで何だかワクワクして来るんですよね。やはりあの光を散りばめたようなキラキラ感が最大の魅力だと思うのですが、洋の東西を問わず、女性だったら誰もがあのキラキラに憧れるのではないでしょうか。
荻野:ありがとうございます。そう「ギラギラ」ではなく「キラキラ」ね(笑)。この「キラキラ」っていう要素がとっても重要だと思っています。
――今回のコレクションテーマが「Party Party Party!」ということでしたが、手応えはいかがでしたか?
荻野:はい。おかげさまでアンテプリマは、ミラノコレクションに正式に参加させていただいて今年で10年目を迎えました。この「10」という数字は、アルファベットの「I」と「O」にも置き換えられるでしょう?しかも「Izumi」「Ogino」という、私の名前の頭文字にもなる(笑)。ですから今回は「O」ということにこだわって、「まる」=「サークル」から始めてみようと思ったのです。デザインに関しても、丸い形に編んだニットなのに、着てみるとシルエットが「I」になる......みたいな(笑)。実はそんな仕掛けが随所に散りばめてあったんですよ。
――まさに、荻野さんの遊び心満載のコレクションだったのですね。今回の会場も、ダヴィンチゆかりのホテルだとか。
荻野:10周年ということで、どうしても「パーティー」にしたかったのです。会場もいろいろなロケーションを見てまわったのですが、最終的にここを選んだ決め手は、どこよりも「ガーデンパーティー」にふさわしい会場だと思ったからです。
――本当に夢のように美しいガーデンパーティーのようなコレクションでした。それでは最後に、これから新たな夢に挑戦したいと願う全ての女性たちに、何かメッセージをお願いできますでしょうか?
荻野:私は自分の年齢を考えてみると、決して若いとは言えません。頭はどんどん若くなる一方、身体はそういうわけにはいかなくなって来ました(笑)。でも、私の好きなアーティストに、ルイーズ・ブルジョワという女性の彫刻家がいるのですが、ご存知でしょうか? あの六本木ヒルズの蜘蛛のオブジェを作った人です。何と彼女はあの巨大な蜘蛛の彫刻を、90歳を過ぎてから手がけたそうです。私くらいの年齢の時はまだ普通の人で、徐々にアーティストとしての才能にも目覚めて行ったようですが、やっぱりそういう人の話を聞くと、勇気がわいて来ますね。「嗚呼、90歳を過ぎてもいろいろなことができるんだ!」って(笑)。
――まさにアンテプリマのメッセージそのものですね! 「女性は何歳からでもデビューを飾ることができる」という何よりの証明ですね。
荻野:本当にその通りです。ですから年齢は全く関係ないと思うし、人はどんどん自分の目指す方向で、幾つになっても変われると思う。私自身も、もっともっと変わりたいと思っていますし、これからどんな風になっていくんだろうって、楽しみで仕方がないんです。
――荻野さんご自身、35歳からブランドを立ち上げられ、まだまだ進化しておられる......。荻野いづみさんこそ、アンテプリマそのものですね。今後、どのような展開を考えていらっしゃるのですか?(笑)
荻野:今度新しく、ストッキングなども手がけることになっているのですが、化粧品にも興味がありますし、カフェなんかもやってみたいですね。とにかく、ありとあらゆる自分の好きなことに挑戦していきたいと思っています。
――実は私自身のイベントプロデューサーとしてのデビューも35歳の時でしたので、大変大きな勇気をいただきました。近い将来、必ず私のトークイベントに荻野さんをお迎えさせていただきたいと思います。本日は、大変にありがとうございました。
(聞き手:次屋妙子)
次は最終回、次屋さんからのお知らせです。
【~最終回へつづく】