「アンテプリマ」の創設者であり、香港と日本を軸に活躍するクリエイティブ・ディレクターの荻野いづみが、いま会いたい、第一線で輝き続けている女性をゲストにお呼びして語るエンパワーメント対談企画の第四弾。今回は渡邉季穂さんをお迎えし、世界に通用する、強く美しく生きる女性としてのキャリアやその魅力に迫り、前編・後編に分けてみなさまにお届けします。
前編とあわせてぜひご覧ください。
VOL.4 後編
ユーザー目線に立ったユニークな商品開発と
日本から海外に向けて発信する未来
GUEST | 渡邉季穂 Kiho Watanabe
荻野:世界と日本の両方を見て、違いなどを感じることはありますか?
渡邉さん(以降、敬称略):一部の女性たちには特に感じませんが、育児・出産・結婚という中で、女性の負担は大きい。もっともっと女性が働きやすいように、男性が協力する意識も持って欲しいし、社会も成熟するべきと思います。あとは女性自身の考えの切り替え、意識改革も重要だと思います。女性って40代からがめちゃめちゃ輝くと思うんですよ。でも日本は若いほど“カワイイ”の文化。海外は“カッコいい”とか成熟した女性の素敵さとか、女性の多様性があるのに、日本は男性にとって“カワイイ”女でいなきゃとか、恋愛のゴールや夢は結婚だったり、女性が対等になって、意識改革をするべきかなと感じます。自分をもっと大事にして欲しいなと感じることもあります。
荻野:私も「いづみさんとは違う」とか言われますよ。
渡邉:這い上がる気持ちはない、トップに出ようとも、出ることを夢見ることもないのかもしれない。転がっているチャンスやラッキーを潰しているかもしれない。それをこちらから伝えるのは、難しいですよね。
荻野:日本や日本の女性たちのよさ、優れている点など感じたこと、気づいたことなどはありますか?
渡邉:気配り、細やかさ、優しさ、真面目さでしょうか。フランスで日本展があり、ボンマルシェでukaのブースを出店したことがあるのですが、日本の細やかな技術を評価していただき、出店依頼が来たんです。海外に行くと色々なビューティサロンに行ってみるけれど、雑なことが多い。日本人の心配りや細やかさ、技術面は、誇るべき部分があるのかなと思います。
荻野:圧倒的に日本がNo.1ですよね。
渡邉:日本人は真面目でよく働くし、本当に器用。上手くまとめちゃう技術も長けているなと。
荻野:商品開発やクリエイティブのヒントを得るためや、感性を磨くためにしていることや行く場所などはありますか?
渡邉:自分自身がユーザーである、という意識を1番に持つようにしています。よいか悪いかより、好きか嫌いか。ユーザー感覚を磨くために、新しいこと、流行り、よいと思うことはなんでもチャレンジしています。あとは、女子会。たくさんのひとと話すことが大切だと思っています。引き寄せも強い方なので、楽しいお食事や会食が多く、ヒントを得ることも。
荻野:ご縁を大切にしていると、ひょんなことから繋がりますよね。私も24時間すべてが仕事に繋がっている。
渡邉:楽しくしていると、あっという間に広がるし繋がる。みんなと会って話すことで、仕事と遊びが同時進行のような。
荻野:商品名やキャッチコピーなどが印象的なのですが、どのように決まったのですか?
渡邉:ベストセラーで販売しているネイルオイルは、時間が商品名です。「7:15」は、7時起きなのに15分寝坊しちゃって……慌てないで、落ち着く気持ちを思い出してホッと一息、というシチュエーションを想定した、朝の静寂に合うユズとヒノキの香り。日本で一番売れている「24:45」は、バニラとラベンダーの香りで、心を沈めてぐっすり眠りにつけるよう考えられたもの。シャワーを浴びビールを飲み干し、ソファに腰掛ける時間を想定しています。うちのプロダクトはストーリー性があり、商品説明もユニークです。
荻野:午前午後で、違う香りやオイルを楽しめたらいいな、と昔考えていたことが、まさに形になっている!素晴らしい。
渡邉:今年の3/26にuka初のパフュームシリーズも発売しました。香りのイメージや情景が広がるような、ストーリー性のある説明やそれぞれの香りの遊び方などが、HPにも掲載されています。それを読んで「ふふふっ」と笑顔になったり、自分だけの香りを見つけて楽しんでいただけたら嬉しいです。
荻野:海外での展開など考えられたことはありますか?もしくは海外でチャレンジしてみたいことはありますか?
渡邉:既に海外では、プロダクトを13年前からローンチし、展開されています。
荻野:香港でも絶対売れるし、流行ると思います。香港に会社を置いて中国進出!すぐできそうですね。
今後の思い描いている展開や夢について教えてください。
渡邉:ukaらしいよね、ってどんなときも言われたいです。日本で考えられたプロダクトを、海外に進出して広げるのが夢です。中国進出もそのひとつ。ネイルオイルのときは日本とパリの有名セレクトショップ『コレット』と同時発売して、世界に広まりました。いままではサロンでのメソッドがあって開発された製品だったので、サロンで使うプロダクトだけを展開していたのですが、今回初めてサロンや店では使っていないものを開発した、香水を出しました。全国に30万人の会員がいて、その6割がサロンを知らない方。これを皮切りに、ライフスタイルビューティを広めたいなと思っています。サロン展開も難しいのですが、そこから派生するプロダクトを生みたいし、楽しいことをしていきたいですね。
荻野:ネイル・美容業界、またはそれ以外で、これから挑戦してみたいことなどありますか?
渡邉:人生100年時代、健康でいることがサステイナブルと思います。体と心の健康が大切。心の健康はビューティの役割が多いので、元気なひとを美容の力で作りたいです。
荻野:ポジティブに生きるための方法や、息抜き方法は何ですか?
渡邉:美味しいごはんを好きなひとたちと食べて、楽しい会話を楽しむことでしょうか。一線で頑張れる1番のパワーの源は、抱えるスタッフの成長です。それを見るとモチベーションも上がり、また自分も頑張ろうと思えます。昔から続けていてよかった美容は、ヘッドスパやいいシャンプーを使うこと。継続することで、いい息抜きにもなっています。
荻野:好きなひとたちと触れる楽しい時間って、貴重ですよね。私は、お風呂の時間をいかに有意義に過ごすかが、いい息抜きに。入浴剤を入れて、音楽を聞きながら、ストレッチしたり体操したりすると、すごくよく眠れます。よく眠ることって大事。
最後に、現代に生きる女性へ、アドバイスやメッセージなどをお願いします。
渡邉:人生はすべて思い込みと思っています。すべて自分で決めている!と思っている。願えば叶う、思えば繋がる。明るい電球には虫が寄ってくるように、いつも楽しくいてください。人間の体ってほとんどが水でできていて、水は波動でできている。美しいよ、の声掛けひとつで美しく変わるんです。だから、ひとと比べなくてよいから、自分でポジティブに語りかけて、楽しくいることが、キレイでいられるヒントなのかも。
荻野:心の持ちよう、大切ですよね。またお食事でもご一緒しましょう。そして、ukaを世界に広めましょう!本日はありがとうございました。
Profile
渡邉季穂 Kiho Watanabe
“うれしいことが、世界でいちばん多いお店”をコンセプトに掲げた、ヘア、ネイル、エステ、ヘッドスパ、アイラッシュ、カフェ、ストアなどを幅広く扱うトータルビューティカンパニー「uka」代表であり、トップネイリスト。雑誌やCM、広告、ショーやコレクションをはじめ、プロダクト開発やストアプロデュースも行い、その活躍は多岐に渡る。ネイリストとしてサロンワークのほか、プロネイリストの育成やセルフケアセミナーなども実施。最先端の美を広める存在として、カリスマ的存在感を発揮し続けている。株式会社主婦の友社から2021年8月に書籍『ukaが教える 大人のハンド&ネイルケア』を発売。
LOCATION:ザ・ペニンシュラ東京
日本の「灯籠」をイメージした24階建てのザ・ペニンシュラ東京は、丸の内、皇居外苑と日比谷公園に面しており、ショッピングの中心地、銀座までは徒歩3分圏内と最高のロケーションに位置し、和のテイストで落ち着きのある客室と個性豊かなレストランをご提供しています。
PHOTO:AKIRA MAEDA(MAETTICO)
HAIR&MAKE:HIROMI YAMAMOTO
EDIT:MAYUKO HAMAGUCHI(SEASTARS Inc.)